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Lois McMaster Bujold ロイス・マクマスター ビジョルド

The Curse of Chalion cover
by Dough Beekman

主人公カザリル(Cazaril)は兵士で廷臣だったが、ある人物の裏切りによりガレー船に奴隷として売られてしまう。 悲惨な状況からようやく脱出したあたりから物語りは展開していく。ガレー船での扱いのせいで心身共に傷つき壊れていた彼だったが、以前奉公していた城に戻ると、女主人から王女イセレの秘書兼教師役に抜擢される。余生を静かに過ごしたかった彼だが、その役目の為に裏切り者本人が権力を握るチャリオン(Chalion)の宮廷へ行くことになる。イセレと弟王子は、そこで権力者の思惑に巻き込まれ、翻弄されていく。古からチャリオンの王家に取り憑いている呪いは、王家の人々を皆暗い運命へと陥れ、イセレもその影を纏っていた。カザリルは王女を権力争いから守る為に身を捨てた行動に出るが、それは呪いに纏わる神々の思惑のほんの一端にすぎなかった。カザリルは王女を守り抜くことが出来るのか? 嘗てカザリルを敵に売り渡した裏切り者は・・・? 

最初の展開は正直遅すぎて読み続けるのが少々大変だった。だが、少し先に進んだあたりから一転、大変面白い読み物になってくる。ヒーローらしからぬ主人公(30台半ばの心身共に傷ついた人物)、意思の強い王女とその侍女。黒魔術と奇跡。裏切り者と権力への渇望。そういった要素がうまく纏めてしっかりしたストーリーになっている。登場人物達は皆良く書き込まれていて共感が持てる。少々善玉は善人すぎる感じもするが、派手な展開無しに印象的なファンタジーに仕上がっている。 魔術合戦が無いと楽しめないという方以外にはお勧めの一冊。是非一度お試し下さい。
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