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平岩弓枝
若き日の道長が、都を騒がす物の怪に立ち向かう
「御宿かわせみ」シリーズの作者が送る妖しの短編集である。道長が遭遇する数々の怪しい出来事。それを楽人の末子、真比呂が道長を助けて怪異をおさめるというパターンをとっている。
楽と妖の奏でるあやかし語り。楽器の「想い」を中心に語る不可思議の出来事。昨今流行の派手さは無いかわりに、
雰囲気があり、じっくりと味わえる物語りに仕上がっている。穏やかなタッチでまとめられた短編。
収録作品: 樹齢500年を越える桜は枯れることを願っていたが、無理に蘇らされた樹は生気を必要として・・・「花と楽人」、他、「源頼光の姫」・「樹下美人」・「孔雀に乗った女」・「狛笛を吹く女」・「催馬楽を歌う男」・「狛麿の鼓」・「蛙人」・「象太鼓」・「春の館」
根の国に住む無明王に真比呂が囚われた。そして都は氷に閉ざされ、いつまでも春の訪れが無い。若き道長は、真比呂を、そして都を救うため真比呂からの使いと共に旅立つが・・・
「冒険」とあるように、真比呂救出の旅の途中での出来事を描きつつラストにもっていっているのだが、前作のような穏やかな味わいが無い。最後もやや物足りなく若干期待はずれ。雰囲気的には良いのだが少々残念である。とはいえ、 道長の純粋な思いを中心に「楽」に拘りつつ描いた本作品は、それなりにまとまった展開をしており、読み物としては平均的なレベルを保っている。時代の雰囲気の演出や人物の必然性がやや気になるが、少し不思議な夢物語として軽く楽しめる作品。 といいつつも、個人的にはダントツで前作をお勧めする。 | ||||
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