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L. E. Modesitt Jr. L.E.モデシット Jr.

ロバート・ジョーダンの『時の車輪』と似たような分厚さの長編シリーズ『レクルース・サガ』がファンタジーでのデビュー作である(その前はSF作品のみ。) ファンタジー分野では3本のシリーズを今までに出版し、どれも社会的抑圧等のテーマを上手く入れ込んで良く出来た世界を構築している。

Legacies
数千年前、世界文明は魔法による災害で滅んでしまったが、その後に又新しい文明が生まれていた。コラス(Corus)では幾つかの国々が争い、砂狼のような変わった生き物や超自然的な生き物も存在していた。魔力も存在し、生まれつき能力のある一部の人々は、その力を用いることが出来る。 コラスの人里はなれた牧場で主人公のアルキウス(Alucius)は生まれ育つ。この世界では羊飼いに多く魔力を用いることの出来る才能が見出されていて、アルキウスは幼い頃から大きな「能力」を露にしていた。 父親が幼少時に戦死し、祖父母と母親に育てられた彼は、牧場を継ぐ事を楽しみに成長していったが、祖父から厳しく「才能」を他人に知られないようにと言い聞かせられていた。18歳になると民兵として軍役に就く事が定められ、許婚を得て直ぐに任地に赴き訓練を受ける。羊飼い達の多くは他の人々より感覚が研ぎ澄まされている為、斥候として有用される事が多く、アルキウスは特に生来「能力」を持っているため、人や生き物のオーラを感じ取る事が出来、例に洩れず優秀な斥候として使われていた。敵の動きや気配を感じ取れる彼だったが、戦闘の最中崩落した壁が頭に直撃してとうとう侵略軍・マドリエン(Madrien)の手に落ちてしまう。マドリエンは女性が支配し、男性はトルクを付けられて支配を受ける特殊な社会で、戦争捕虜は同じくトルクを付けられ奴隷兵として訓練される。(孫悟空の金鈷みたいなもの)アルキウスは生き残る為に「能力」を隠しつつ、それでも有効に活用して徐々に出世していった。マドリエンの支配者マトリアル(Matrial)の力の源は邪悪なもので、アルキウスは自分の「能力」を用いて世界に張り巡らされていた邪悪な力の根源を破壊しようとするのであった。

魔法体系があまり詳しく説明されておらず、どちらかというとテレパシー系の能力の拡張版に感じられる。全体としては彼の作品の「レクルース・サガ」と似た感じがある。兵隊の動きや斥候の様子等がかなりな部分を占めており些か話の動きが悪く感じられるが、アルキウスの成長と出世を辿るには必要かもしれない。女性支配の社会やトルクというとグッドカインドの「真実の剣」を思い出すが、この本ではあれほどのSM嗜好は無いのでそれほど気にならずに読み通す事が可能。本書が一巻と言うことなので、次巻の展開が楽しみである。(しかしアルキウス君、君は出来すぎだよ・・・ ^^;)

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